《MUMEI》
今までいろんな奴の家に遊びに行ったが自室にシャワールームがあるのは初めてだ。
良くみるとベッドやテーブルなんかシンプルな作りだけどかなり高級そうだ。
シャワールームの脇にある扉がどうしても気になってそっと開けると
「――――――すげ」
システムキッチンとバカデかい冷蔵庫。
大きなソファに大理石っぽいテーブルが鎮座している。
「――――――」
そっと扉を閉め俺はベッドに腰を下ろした。
―ガチャ…
「ゴメ〜ン!――あ〜さっぱりした!」
グレーのボクサーパンツだけで髪を拭きながら聖ちゃんは現れた。
――細い。
想像してたよりこりゃ…華奢だ!!
うっすらとしかついていない筋肉、脛毛もちょっと毛深い女の子って位。
俺が中学に入った頃を思い出させるあまりにも幼い容姿にただ呆然と見入ってしまった。
――聖ちゃんはそんな俺の様子に気づく事なくクローゼットからタンクトップとショートパンツを出し着込んだ。
――シャワー上がりシーン…お着替シーン…はあ…
――――幸せ。
先程の扉に入りまもなく聖ちゃんは出てきた。
小さなトレイにグラスが二つ。
「カルピスしかなかったよ〜、甘いの平気?」
「あ、平気平気、有り難う」
俺はグラスを受け取るとあろうことか聖ちゃんは俺の隣に座った。
――ゴクッ…
カルピス飲んだ音じゃない、生唾飲んだ音。
――――ベッドに聖ちゃんと一緒に座っている!聖ちゃんと一緒に座っている!!!
……柔らかそうな素材のタンクトップ。腰のラインがくっきりと出たショートパンツ。
――濡れた黒髪……
色いじってない黒髪の子なんて……そういや抱いた事ないかも…。
―――聖ちゃんの横顔…マスカラのついていない睫毛、だけど長くて綺麗で……この睫毛に涙が染み込んだらどんなに色っぽいんだろう……――――――。
「――気のせいだったらワリイんだけどさ」
「はひぃ?」
急に声かけられて、しかも同時に俺の方を向いてきたから変な声を出してしまった。
一瞬聖ちゃんは固まったが直ぐに普通の表情に戻り続けた。
「金曜の7時頃うちのコンビニの前のビルんとこでさ…、女の子と抱きあってた?」
――気付かれてた……?
「――い、いや?俺金曜は塾だし!へ〜、そんな奴いたんだ」
とっさに嘘をつくのは悲しいかな惚れてしまったせいでもあり男の性か!?
「――そうか、ゴメン変な事聞いて、そうだよな、学級委員長があんなとこであんなことしないよな」
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