《MUMEI》

冷たくなってゆく彼女の骸を抱きしめていると――…



僕がプレゼントした、あの香水のラストノートが、仄かに鼻先を擽った…。



それはまるで消えゆく命の灯火のように――…



彼女に残された最後の温もりと共に薄らいでゆく…。



「うっうっうぅっ…」



診察室の中に――…


僕の慟哭の声だけが虚しく響き渡っていた――…。

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