《MUMEI》

(拗ねちゃったのかな…)

はるちゃんにぶら下がりながら武の様子を伺っていると、手をグーにして不機嫌そうにベッドを何度もボフボフと叩いていた。

「た〜けし…」
「ん……うぅッ!」

やっぱり拗ねているみたいな武の側に行くと、うつ伏せになっていた武の背中に覆いかぶさりながらちょっとだけ武に忠告してみた。

「お酒より、カルピスの方が美味しいよ…?」

= = = = = = = = = = = = = = = =

(酒より?カルピスの方が…ってか?)

やっぱりこんな可愛くても半分はドイツ人だから、小さい頃からビールとか飲んでて酒の味を知っているんだろうか…。

「………ぁ〜」

二日酔いの頭では到底結論にたどり着きそうに無かったので、この辺で考えるのを断念して背中に乗っかってるかなたの感触に甘える事にした。



「うぅ〜ん…」

クーラーが利いた部屋のベッドの上で、かなたが俺を膝枕して子供をあやすように俺の頭を撫でてくれていた。

まるで天国のようだ。

「大きい赤ちゃんだね、よしよし///」
「赤ん坊ってより、動物以下だぜ…」
「うるせぇ…」

膝枕されながら、はるかの奴に向かって中指を立ててやった。



天使なかなたと、悪魔のはるか。

本当に双子の兄弟なんだろうか。

似ている、と言えば似ている……背中が。


この前は、後ろ姿を間違えてはるかの方を抱きしめて、いつものように耳を甘噛して耳元で囁いて……。

エラい事になった…。

はるかの奴が帽子をかぶってたから、髪が長いとか短いとかが分からなかったんだけど。

でも身長とか、生意気なカンジとか、よく見れば分かりそうなモンなんだけどな。

この二人、雰囲気だけはよく似てるんだよなぁ…。

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