《MUMEI》
last dancing with you
いつも通りのバイト終わり早朝、着替え終えて外に出ると外は一面の銀世界だった。

「すげぇ・・・・」

早朝といっても2月のはじめ、太陽すら眠りについている夜空にぽっかり浮かぶ月の冷たい光が、コンクリートを覆いつくした氷の粒に反射されてきらきらと光っている。今夜は雪だと天気予報のお姉さんも言っていたけれど、いったいいつ降っていつ止んだのか、静けさも美しさもまるで作り物の幻想のようだった。

「わ、すご!寒!」

一足遅れて出てきた銀二も歓声を上げている、青一色の濃淡で描かれた世界に吐息が白く霧散する。

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