《MUMEI》
プロローグ
ある日の午後――…







ボリボリ……ズズッ…


一人の主婦が、茶の間で煎餅をかじりながら、ワイドショーのTV番組を眺めていた。



「――…それでは現場からお伝えします…。」


悪趣味なネクタイをした芸能リポーターが、どこかの歌舞伎役者の熱愛ぶりを皮肉たっぷりに茶の間へ伝えている。




「まったく、海○蔵も女癖が悪いわねぇ〜(笑)」


主婦は、テレビの向こう側で起きているスキャンダルに呆れたような独り言を呟いた…。



主婦……玉子にとっては、まったりとしたいつもの日常だった。



次の瞬間までは――…

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