《MUMEI》

そこには、財務省舎から駆けつけたばかりと思われる、スーツ姿の中島が呆然と立っていた。



――――…ドサリッ…!


彼は手に持った鞄を床に落とした――…。



「ぅ…嘘だろ……カ…オリ…?


…ぃ…そ……の……

…これは……いったい………」


彼は信じられないといった様子で、首を横に振っている。



彼もまた目の前の現実を受け入れることを拒んでいた――…。

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