《MUMEI》
最後の夢
大和の闘病生活が始まった。千尋は毎日顔を出した。何日目かに千尋は
「私の前でかっこつけないで。苦しかったらそう言って。私役に立ちたいの。」
「うん…わかったよ。」
千尋はできる限り看病に通った。
そんなある日今度は千尋が病院倒れた。たまたま居合わせた大和の母が看護士を呼んで、千尋はストレッチャーで運ばれて行った。千尋の目が覚めた時、大和の母が側についていた。
「千尋ちゃん大丈夫?倒れたの覚える?」
「あ…そういえば…。もう大丈夫です。」
「千尋ちゃん知ってるの?」
「え?」
「赤ちゃんがいるんだって。…大和の赤ちゃんよね?」
「…大和の…赤ちゃんが?」

千尋は大和の部屋に戻った。
「大丈夫か、疲れてるんじゃないか?」
「大丈夫。心配ないから。」
そう言って千尋は一枚の写真を大和に渡した。
「…何?」
「私のお腹に大和の赤ちゃんいるんだって。まだ小さすぎて点にしか見えないけど。」
大和はびっくりした目で千尋を見た。
「私…産みたい」
「でも俺いつ…」
「産みたいの。迷惑?」
大和の目から涙が零れた。千尋を抱きしめて、
「体、大事にしてくれよ。俺頑張って生きるから。生きておまえと赤ちゃん幸せにするから」
言葉なく千尋は頷いた。
大和の命はあと一ヶ月と宣告されていた。

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