《MUMEI》 ◇◆◇ ごとん。 花姫を乗せた牛車が、ゆっくりと動き出す。 草薙と黒蝶は、それを見つめていた。 「なぁ、草薙」 「‥‥?」 「あたしらさ、ちゃんと‥咲弥の役に立てたかな」 「‥‥ああ、恐らくな」 次第に車輪の回る音が遠のいて行く。 暫しの後、牛車は完全に見えなくなった。 「よし、戻るか」 黒蝶は空元気といった様子で踵を返した。 「?‥ほら、お前も早く来いよ」 「‥‥ああ」 草薙は徐に黒蝶の後に続いた。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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