《MUMEI》 「…で、本題だけど」 香織センセーが口を開いた。 「…あなた達がそうなってしまったことに、何か心当たりは??」 「…私は、事故が原因だと思うんだけど」 「おれも。てか、それしか考えらんねえし」 おれたちが口々にそう答えると、 「あの事故―…2人とも、怪我は無かったのよね!?」 心配そうな表情を、おれたちに向ける。 「うん、ほとんど」 「おう」 あのとき、おれが背後で聞いた音は、蓬田の靴が潰れる音で、 おれの腕の擦り傷も、今はガーゼが貼ってあるくらいだった。 「よかったわ。あたしもお見舞いに行きたかったんだけど、用事があって…」 「…どうせデートでしょ?」 蓬田が呆れたように言う。 「まあ、そうとも言うわね」 笑うセンセー。 …おれたちの周りって、薄情な人多いな… 「…で、脳の検査とかは?してもらったの??」 「うん。どっちも異常なしだった」 「…そう。―…一体、直接の原因は何なのかしら」 「それがまだ、全然で―…」 「漫画とかドラマなら、『天罰』の場合が殆どなんだけど…」 香織センセーが考え込むように呟く。 「天罰なわけないだろ、蓬田はネコ助けようとしたんだから!!」 おれが反論すると、香織センセーは小さく笑って言った。 「可能性を挙げてみただけよ。…そんなに怒らないの」 「…べつに怒ってねえよ」 「ほんと、可愛いわね〜」 「…………」 なんか、遊ばれてる気分だ… 前へ |次へ |
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