《MUMEI》

「愛を…ですか?」


「そんな顔しないの」


夏樹さんは、私の眉間に指をあてた。


「実際、うまいシステムだと思うのよね」


「システム?」


私の言葉に、夏樹さんは頷いた。


「だって、それだけで、大量の誕生日プレゼントも、バレンタインチョコレートも受け取らなくて済むんだもの。

おまけに、誕生日イベントって、普通はある意味『イケニエイベント』なのに、ちゃっかり周りも巻き込んでるし…

『お返しは、いりませんよ』って言えば、ホワイトデーイベント回避できるしね」


「なるほど…」


私は、五月にあった雅彦の誕生日イベントと、先月の和馬の誕生日イベントを思い浮かべた。


どちらも、大量のプレゼントをもらっていて、困っていたし


当日は、かなり疲労していた。


それを避けられるだけでも、俊彦はかなり得をしている。


「他の三人は反対しないんですか?」


「断れば、待っているのは大量のチョコレートよ」


夏樹さんの言葉に、私は納得した。


「そういえば、俊彦のチョコレートと誕生日プレゼント用意したの?
作ってなかったみたいだけど」


「準備はしてありますよ」

俊彦から希望は聞いてあった

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