《MUMEI》

その夜、久しぶりに二郎の家に泊まらせて貰った。
俺と七生と二郎で三人で寝るには二郎の部屋は窮屈だったけれど、楽しかった。

童心に返ったみたいに馬鹿馬鹿しい話をして笑って、安心して眠れた。
程なく七生の鼾で起こされる羽目になるのだが。

「寝た?」

二郎はこんな騒音と同じ部屋で寝てたのか。

「うん……、どした?」

ベッドを見上げると二郎がけ怠そうに目を細めた。

「七生五月蝿い」

「ああ、そっか。場所変えようか」

無言で二郎のベッドに入る。

「乙矢、狭いよ」

「床より広い」

二郎の体はひんやりしていてきめ細かい肌が触れるのを誘発させた。

「あれ、乙矢こんな顔してたっけ?」

二郎が顔に触れてくる。

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