《MUMEI》

『こんな時もなんも平気だからさ、――とりあえず折り返し連絡するわ』



「―――悪いね、じゃー宜しく」





―――はあ。




運転中気まぐれで考えついた事とはいえちょっとタイミング悪かったかなあって…。




一応ナビいじくって名古屋市を出す。



程無くして秀幸が戻ってきて事情を話した。





「まあ潮崎君が傍にいんなら問題ないだろ?
変にこっちまで気にしたら余計負担かけるだけだしな、
てか薬は持ちあるってんだろうからさ、気にすんな?」


「――そうだね、何か良く分かんねーけど嫌な予感しちゃってさ…」

「――♪♪♪♪♪♪」


「はいはい」





『大丈夫だって、しかもお前らの名前出したら特別室開けるってよ』


「マジで!?やったあ!」




――さっきとはうって変わっての明るいテンションで惇は電話してきた。



住所と電話番号聞きながらナビ検索すると場所が表示された。




「有り難うな!いやマジで俺惇の事愛してるわ、――な、今度一回ヤらしてやろうか?」



「おいおいおい!」
秀幸は笑いながら俺の頭を軽く叩いた。

『――ハハッ、じゃーその内に抱かせて貰うわ、…迷ったら電話して?一応携帯離さないでいるからさ』


「サンキュー!そん時は頼んだわ」



とりあえず和んだ空気の中携帯を切った。






「へー?特別室って本当は夜限定なんだ?」



――こっからは運転交代して俺は目一杯椅子をリクライニングさせてのんびりと、くつろいでいる。

「たしか、余程のお得意様か財界の客位しか入れないって言ってたんだよな、―――なんか楽しみだな、そんな敷居の高いとこ踏み込んだ事ないからさ」


「そうだな、たまには贅沢すっか!
おい、次は俺が出すからな?」


「端からそのつもりで〜す!秀幸頼むぜ〜?」

「任しとけ!いや〜今回は結構楽しめてんな!たまには遠出もいいっなあ」




――二人でくだらない話に笑いころげながら高速を移動する。


ふと会話が途切れた途端手なんか繋いじゃったりして……。



――まさかこれから惇が大変な事になるなんて分かる訳もなく……




俺達は順調に名古屋に着きインターを降りた。

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