《MUMEI》

「うわ!…ごめん!だ、大丈夫?」


俊彦自身を口から出し、ケホケホとむせる私に俊彦は慌てて姿勢を変え、私の顔を覗き込んだ。





(い、…今のって…)


口の中に、苦いような、奇妙な味が残っていた。


(まさか…)


「蝶子?平気?」


「…の、飲んじゃ…った…」


私が呆然として答えると、俊彦は、『うわ〜!』と何度も叫びながら、頭を抱え、私にペットボトルのミネラルウォーターを手渡し、トイレでうがいをするよう言った。


私がゆっくりと起き上がり、言われた通りにしていると…


「だ、大丈夫? き、気持ち悪くない? 吐いてもいいんだよ?

ていうか、吐いた方がいいよ」


様子を見ている俊彦が、あまりに怯えていて、私は逆に落ち着いてきた。


「…大丈夫。ごめんね」


私は俊彦を抱き締めた。


「い、いや、俺、俺の方こそ…

あんまり気持ちよくて、余裕無くて…」


「もう、…いいよ。続き……

しよ?」


「…」


「俊彦?」


俊彦は、震えていた。


そして…


「もぅ!何でそんなに可愛いんだ!」


と叫んで…


明け方まで、私を抱き続け、離さなかった。

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