《MUMEI》

眠ったフリは、いつの間にか本当の眠りへと変わっていた。



「着きましたよ…お義兄さん。」


堀川の声に目を覚ます。


猛烈な眠気が残っていた。…ということは大した距離は走っていない。



目を擦りながら窓から外を窺うと、車はどこかの住宅街の路上に停車していた。



「早く降りて…。」


ワカメが、せっかちに僕を急かす。僕は後部座席のドアを開けた…。


「ん!?……ここは…??」


車を降りた僕の目に、真っ先に飛び込んできたもの――…



――――…それは…。

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