《MUMEI》 双生児「……お帰りなさい。ほら、入りなさい。林檎あるよ、林檎。」 バァさんは相変わらずだった。 「国雄、緊張?」 光が手を握り直してくれると、幾分気が紛れた。 「大丈夫だから、離さないでな?」 「……俺も居ますが」 幹裕には悪いことをした。実の兄が惚気てるとこなんて見たくなかったろう。 「幹裕も出来れば……」 空いてる片手を上げる。 「……勘弁してくれ。」 心底嫌そうな顔をされた。 「幹裕照れてるんだ。」 光がおちょくる。 「違うし!」 ムキになるとまだ子供らしさが残っていると分かる。 「お前達って兄弟みたい。」 こういう掛け合いは俺には縁がなかったな。 「「そうでもないよ」」 この場合、光はポジティブに、幹裕はネガティブに捉えていた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |