《MUMEI》 「待って、君は……!」 王は彼女を追うが軽々と避けられた。 ひらひらと身につけた衣が羽根のように霹く。 「良い王は眠りの時間だよ」 そう言って彼女は数十メートルはある窓から飛び降りた。 両手を鳥が羽ばたくように高らかに上げて後ろから倒れ込むように降下する。 王が窓から地上を覗き込むと既に彼女のいた形跡は無くなっていた。 残されたのは甘い薔薇の香りばかりだった。 前へ |次へ |
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