《MUMEI》

「待って、君は……!」

王は彼女を追うが軽々と避けられた。

ひらひらと身につけた衣が羽根のように霹く。

「良い王は眠りの時間だよ」

そう言って彼女は数十メートルはある窓から飛び降りた。

両手を鳥が羽ばたくように高らかに上げて後ろから倒れ込むように降下する。

王が窓から地上を覗き込むと既に彼女のいた形跡は無くなっていた。







残されたのは甘い薔薇の香りばかりだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫