《MUMEI》
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ロイは塔を見つけた。

エレベーターがあってそれを使っているようだ。
エレベータは少人数の定員で近くにあるレバーを使い起動する作りになっており、ワイヤーに近い繊維の紐で支えられていた。

ロイは手袋を嵌め直し紐を掴んで降り始める。

下を見れば深くて暗闇ばかりだった。
自分の呼吸と僅かに掴んだ紐が擦れる音以外は無音の空間である。



下から風が吹き付けてロイの服を浮かせた。


風の音は深く降るにつれて大きくなった。

音以外のものは全てが暗闇であり、ロイは目を閉じていた。



そのせいで、地上が近付いて来たのは自分が降ってきたからだけではないことを気付けなかった。

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