《MUMEI》

「な……いい物件って…コレ!?」


「どぉ?…気に入ったでしょ…?」


「――…気に入るも何も…」



僕は思い出の詰まった玄関を眺めたまま口籠った。



「また、ここから始めればいいじゃない?

――…お兄ちゃん、まだ28でしょ?

その年齢で老け込むなんて、妹であるこの私が許さないんだから!…(笑)」


「そうですよ……お義兄さん…。

まだ、いくらだってやり直しがききますよ…。

また一緒に頑張りましょう!」

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