《MUMEI》 「む…迎え?」 私が目を丸くすると、祖母は深く頷いた。 「あなたは、このまま山田家にいなさい。 あんな男のいる町に、一緒に帰らなくていいから」 「嫌です!」 あの町には 『クローバー』での仕事があるし 商店街の仲間が 俊彦がいるのだ。 「ちょ、ちょっと、ばあさん。いくらなんでも…」 「あなたは黙ってなさい!」 祖母が怒鳴りつけると、亘君は何も言えなくなってしまった。 そして、ものすごい勢いで、車が駐車場に入ってきた。 バタンッ! 「母さん!」 「光二!お願い!」 車から走って降りてきた光二おじさんが私の腕を掴んだ。 「い、…」 すると、光二おじさんが、私の耳元で囁いた。 「俺は、君の味方だよ」 ーと。 (え?) 私は、光二おじさんを見上げた。 「ここにいる人達は、ちょっと頭に血が上ってるんだよ」 「そ、そうなんです!」 小声で話を続ける光二おじさんに、私は訴えた。 「ここは、大人しく一旦ウチに来て、皆にちゃんと蝶子ちゃんが説明すればわかってくれるよ。 だから…ね?」 光二おじさんが私の肩を抱いた。 前へ |次へ |
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