《MUMEI》
軟禁
レストランで何も食べなかった私と祖母の為に、光二おじさんは途中でコンビニに寄ってパンと牛乳・それにペットボトルのお茶を購入した。


その間、私と祖母は車に残っていた。


…正確には、助手席のドアはロックされていて、私は出る事ができなかった。


「ちゃんと食べないと、この後困るよ」


食欲の無い私に、光二おじさんは優しく話しかけた。

(コンビニのパンて、こんなに味気なかったっけ…)

私は、『ベーカリー喜多村』のパンや、咲子さんが作ってくれるサンドイッチを思い出しながら、『姉さんが好きだったから』と、光二おじさんが買ってきたメロンパンを食べた。


…牛乳で、流し込むように。


それから一時間近くして、車は山田家の駐車場に入った。


私は、後部座席にいる祖母から自分のバックを受け取り、緊張しながら、車を降りた。


そして、山田家の中へと入っていった。


「…おじいちゃん」


「…」


仏壇のある和室に座る祖父は、私を見て…


大きく、ため息をついた。

そして、『話は後にしよう。…しばらく、うちにいなさい』と言った。


祖母が、『おじいちゃん、最近血圧高いのよ』と、私に耳打ちした。

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