《MUMEI》

「そう…なんですか?」


いくら母が大切な娘でも、毎年下着まで買うのはどうかと、正直疑問だったが…

光二おじさんが、満面の笑みで頷くので、私は何も言えなかった。


「…髪、伸ばしてるの?」

『俊彦の為に』とは言えない私は、『はい』とだけ答えた。


「やっぱり、姉さんと似てるよ、ほら」


そう言って、光二おじさんは、部屋にあった母と、光二おじさんが二人で写っている写真を私に見せた。


言われてみれば、髪質や、色白なところや…


「唇の感じが、似てる」


「…ですね」


私は、自分の唇をそっと撫でた。


「蝶子ちゃんさ…」


「はい?」


「あの彼とは、もうヤッた?」


「なっ…」


私は、光二おじさんの質問に真っ赤になった。


「そんなとこも、姉さんそっくりだね。

そっかぁ…」


光二おじさんは、何度も頷いた。


そして、『じゃあ、俺の部屋、隣だから』と言い、出て行こうとした。


その時、私は奇妙な言葉を聞いて、光二おじさんを呼び止めた。


光二おじさんが、不思議そうな顔をしたので、私はその言葉を確認できなかった。


『おかえり…姉さん』


そう、聞こえたような気がした

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