《MUMEI》 「声出せ!!」 たった2点先制されただけでもう気落ちしてる。 2点先制なんて珍しくないことなのに、強豪に2点先制されると、 『やはり通用しない。』 といった具合に捉え勝ちになる。 クロの声を出せという指示が頭に入っていない。 「声!!出せ〜!!」 少し怒り口調で言う。 はっとしたように、 「45オッケー!!」 気持ちが切り替わる。 落ち込んでいる場合ではない。 集中しないで勝てる相手ではない。 集中が切れるのは大抵負けている時だが。 相手のパス回しが早く、惑わされるのは悪いことばかりではない。 ボールに集中しているからこそ惑わされるのだ。 視野が狭い。 それはクロはわかっていることだった。 ポストにやられる。 これは仕方ない。 最初と同じようにポストにパスが通り、やられる。 3対0。 2点もポストに取られた。 これで少しはポストに意識もいくだろ。 初めは視野が狭くとも、それだけではいけないということに、気付き始める。 続けてポストに点を取られたが、早い段階でポストに集めているのは1つの過ちである。 2点ポストに取られたが、これからはそうもいかない。 クロはそう予想していた。 前へ |次へ |
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