《MUMEI》
調査
怒りがおさまらない様子の祖母と光二おじさんを何とかなだめる為に、私は自ら台所に立ち、朝食を作った。


どうやら私の料理好きは母譲りだったらしく…


少しずつ、その場の雰囲気が和んだ。


「あの、さっきの、『おじいちゃんがもうやってる』って…何ですか?」


私は、祖母の顔色を見ながら、恐る恐る質問した。


「あの男の調査よ」


あっさりと祖母は答えた。

…あくまでも、祖母は俊彦を名前で呼ぶ気は無いようだった。


「父さんの知り合いに探偵がいるんだ」


光二おじさんが付け加えた。


「そんな事しなくてもいいと思うんだけど、一応ちゃんと調べてから結論出すって言ってるの」


「そう…ですか」


(良かった)


祖父が冷静な様子なので、私は安心した。


(本当の俊彦を知れば、きっと、おじいちゃんだって…)


そこまで考えて、私はハッとした。


(まずい)


今までの、俊彦を思い返してみる。


おじいちゃんは、女性にベタベタ触る男性は、確か…

『大嫌い』


だった。


数日後。


探偵の調査報告書を読んだ祖父は…


怒りに震え、『絶対にゆるさん!』と言った。

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