《MUMEI》

「?それが、何か?」


祖父の知り合いということは、祖父と同年代の人だろう。


「だから、『ウチの息子や孫の嫁に是非!』て前々から言われてたらしいの」


祖母の嬉しそうな言葉に、私は絶句した。


「どう? この人とか…」


「いやいや…」





「お〜い、蝶子ちゃん、戻っておいで」


ハッ


いつの間にか来ていた光二おじさんの言葉に、私は正気に戻って叫んだ。


「全部断って下さい!」


「「どうして?」」


(どうしてって…)


私には俊彦がいるのだ。


そう言おうとしたら、光二おじさんが先に『蝶子ちゃんはもう、お嫁に行けない体だもんな』と言った。


その言葉に、私と祖父母はキョトンとした。


そこで、光二おじさんはよりわかりやすい表現で言った。


「だって蝶子ちゃん、あの男とヤッちゃったんだもん…ね?」


その言葉に


私は真っ赤になって頷き


祖父母は悲鳴を上げた。


「だからさ」


私はその後には、『結婚認めてあげたら』と続くのを期待した。


しかし


実際は、全く違う言葉で、私は唖然とした。


「キズものにされた蝶子ちゃんを俺が一生守るよ」

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