《MUMEI》
なんで!
「――――――――」





――ふと目覚めると、俺は暗闇の中、ベッドに一人横たわっていた。





――カチカチカチカチ―――






何処からかともなく耳に伝わる秒針の音。






指先を動かす事さえ億劫、俺は無心で天井を見つめた。




―――………。





暗闇に眼が慣れ、視界にうっすらとシーリングライトが現れた。
――カチカチカチカチ…



「――――――」




カチカチカチカチ………




「……ぅ……」






―――――――カチカチカチカチ…





――――カチカチカチカチ…





「―――はっ…」




カチカチカチカチ―――――
――――カチカチカチカチ…



「イヤ……だ…」




カチカチカチカチ――――
――――カチカチカチカチ…



「ムリ…、イヤ…、
うっ…、うっ…」




―――涙が溢れ出した途端、俺の感情は爆発した。



「バカヤロ―――っつ!!!何でいっつも居なくなんだよ――――――っつ!!!」


バンッ!!!



「聖ちゃん!!!」
突然まぶしい灯りと共に長沢が現れた。

スタスタと真っ直ぐに俺の元に来て、ベッドにダイブするかの如くそこに横たわる俺をギュッと抱きしめてきた。

「ゴメン、一人にして、ゴメンね?どうしても塾に行かないといけなかったんだ、本当にゴメンね」

「―――塾?は?塾?何なんだよ一体!塾と俺どっちが大切なんだよ―――!」


バンバンバンと俺は長沢の背中を殴る。

自分は汗臭い全裸。
反面、長沢はからはボディシャンプーの匂いが漂い、髪型まで確り決まっていて当然衣類まで纏っている。

そのあまりにも酷い違いに情けなくて泣けて泣けて堪らなかった。

「聖ちゃん、ゴメン、どうしても行かないといけないかったんだ、ゴメン、泣かないで」

「バカあ!塾の方が大切なんてバカあ!!
俺の事が好きなんじゃなくてセックスが好きなだけなんじゃねーかよー!ふざけんな、もう俺に触んな、もう―――――大嫌いだ……」

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