《MUMEI》 『すごい人と知り合いなんだな』と、光二おじさんも驚いていた。 (和馬の言ってたのって、この事かな?) その割に、明日馬さんも真理子さんも、祖父母を説得するような素振りは全く見せない。 明日馬さんは私にいくつか質問して、私のスケッチを元に、可愛らしいキャラクターを完成させた。 それから、祖母が高級な緑茶と有名店で買ってきた和菓子を振る舞った。 (薫子さん、元気かな) 私がぼんやりしていると、真理子さんが私に近付き、小声で『ここからが本番よ』と囁いた。 (何が?) 明日馬さんが腕時計を見た。 時刻は三時になろうとしていた。 「すみません、テレビつけてもらっていいですか? 優馬が出るんです」 「まぁ、あの、推理小説家の?」 「えぇ、親バカですみません」 明日馬さんの言葉に祖母は笑いながら、テレビをつけた。 (優馬さん見ても…) 私は、面識が無いし、特に意味が無いように思えた。 画面に、和馬によく似た男性と、女性リポーターが映った。 「えっ?」 「蝶子?」 祖母の声に、私は慌てて口を押さえた。 (びっくりした) 前へ |次へ |
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