《MUMEI》

リポーターはキョトンとした顔をした。


『間違ってますよね? でも、その頃俺達ホストって、女の子が喜ぶ事勉強できるよなって思ってたんですよ』


唖然とするリポーター相手に俊彦は続けた。


『でね、ホストは偽りの愛を売るけど、靴屋は靴と一緒に何を売るかなって考えたんですよ。

で、思い付いたのが、この形です』


『えぇと、それは、つまり?』


(何だろう?)


私も


明日馬さんも真理子さんも

光二おじさんも


祖父母も、俊彦の言葉を待った。


『目指したのは、シンデレラの魔法使いです』


『あの〜、もう少し、具体的に』


『あれ? つまり、解けない魔法をかけるんです』


首を傾げているリポーターに俊彦は力説した。


『それで、わかるか!兄貴!解説!』


『何で俺が』


『謎解き得意だろ!』


そして、和馬に押し付けられる形で優馬さんが渋々解説した。


『シンデレラの魔法使いは、かぼちゃを馬車に変えたりネズミを馬にしたり、美しいドレスを用意した。

しかし、結局、どれも、消えた。

ガラスの靴以外は。

そして、その靴のおかげでシンデレラは王子に見つけてもらえた」

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