《MUMEI》 「蝶子は俺の事そんなに愛して無いんだ だから、あんな事言ったんだ… 俺は、ずっと不安だったのに…寂しかったのに… 皆に説得されて、仕方なく待つだけで、ずっと、不安で…なのに、蝶子は… きっと向こうでのほほんとしてたんだ…だから」 「…っ…馬鹿ァ!」 ドンッ! 最初は我慢して聞き流していたが、『向こうでのほほんとしてたんだ』と言う俊彦を… 私は突き飛ばしていた。 「蝶子?」 俊彦は、しりもちをついた。 「わ、私だって、大変だったんだからね! おじいちゃんもおばあちゃんも『別れなさい』って…ッ…『忘れなさい』って言うし ッ…様子、見に来た父さん、も、華江、さんだって…追い帰された、し… こぉ、じ、おじさんは、よくわからないしぃ… こ、ないだなんかぁ…ウ…見合い、写真、いっぱいィ見せられるしぃ…」 しりもちをついたまま呆然と私を見上げる俊彦に、私は今までの苦労を訴えた。 「たっ…たい、へん」 「大変そうだったよ、実際」 「気を張って…頑張ってたもの」 言葉が出なくなっていく私のかわりに、明日馬さんと真理子さんが説明してくれた。 前へ |次へ |
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