《MUMEI》

「何してんの?」

東屋に見付かった。

「……隠れてます。」

「ふーん、水って売店で買える?」

東屋の顔が寝起きでむくんでる。

「自販機と同じ値段だよ。」

「じゃ、自販機でいい……くわああ」

間抜け顔全開に欠伸を一つ漏らした。

「なあ、東屋って昨日飲んでたとき俺が寝ていた場所に来た?」

「……んー?来たかも。」

特に大きな変化も無く、飄々と言った。

「そうなの?!」

「かぁーも。
俺、記憶ぶっ飛んでんの。朝起きたらトイレの中だったし。
う〜、頭痛い。」

二日酔いまっしぐらなようだ。
東屋だったら覚えてなさそう。

「……何にも覚えてない?」

確かめてみたり。

「何が?」

訝しげな面持ちをする。
分かってない。
気付いてないのか?

「ならいいんだ!」

嬉しくなってきた。

「えー、だから何ー?」

「いいからいいからー」

東屋が酔って覚えていなかったなら安心だ。
きっと東屋にしてしまったに違いない。

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