《MUMEI》

「乙矢も七生も、どうして俺のこともっと見ててくれないの?」

二郎が両手で顔を覆う。

「ごめんな」

本当は見ていたかったんだけれど……

「謝るな。」

両手を剥がそうとしたが頑なに退けようとしなかった。

「俺だって見ていたかったよ。」

でも、俺が欲しいものと違うから。

「俺が本当は凄く飢えてるの知ってるくせに……」

知っているさ。
だから侵食しないようにしているんだ。

例えば、頭を撫でるこの手が一方でその開きかかった襟を乱してしまいたいとか……考えもしないんだ。

「ごめんな」

二郎の頭を撫でる手の甲の上から接吻してやる。

本当は生身に触れたいのだが。

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