《MUMEI》

「──わぁ、すっごーい!」

「アレがこの町で一番の見物名所になっとる聖堂や」

「おっきい──‥」

「お店の方にも行ってみるデスか?」

「うん、行きたい行きたいっ」

「お前‥」

「ん?」

「何でオレなんか連れて来た」

「だって──魔法使いくんだってほんとは来たかったんでしょ?」

「ぇ」

「違う?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

「魔法使いくん‥?」

「用事が済んだらすぐ帰る。お前らとは別行動だ」

「え、ちょっと魔法使いくんってば‥っ」

「──ほっとき」

「シフィルちゃん‥」

「好きなようにさせたるのも大事なコトやで? 今は何言うたかて、聞く耳持たへんやろしな──」

「そ、そうなのかな‥」

「まぁとにかく来てみ。そやなぁ‥まずは何か腹ごしらえしよか」

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