《MUMEI》
出会ったあの日。
俺達が出会ったあの日。

ゲーセンであいつを助けてから、半ばあいつに押し切られる形ではあったが、お互いの携帯アドレスを交換した。


『あのね…明日、会えるかな?』
「え…お前あの子か、いきなりだなァ」

いきなり携帯が鳴って出てみると、さっき別れたばっかりの可愛い奴からだった。

「いいぜ…ってか教室で会わねぇ?同級生だろ?」
『そっか///じゃあ明日武のクラスに行くね♪』

さっそく武と呼び捨てだし、タメ口だし。

タメだけど…。


携帯を切った後、ため息をついた。

あんなブロンドの王子様みたいな奴と友人になってしまった事に実感が沸かなかった。

(本当はあいつら…妖精さんなんじゃないか…?)

あまりにも現実離れした容姿で、それがしかも双子で、あんなに可愛らしいとか…。


次の日、教室の俺の席には人だかりが出来ていて、その真ん中には例の可愛い王子様が座っていた。

「みんな優しいんだよ〜♪」
「冷やかしてたんだよ…こっち来い」

周りが騒ぎまくってたんで、すぐにチビの手を引いて教室から連れ出すと同時に、周りの奴らから口笛や歓声が上がった。


「あいつらと何話してたんだよι」
「昨日武が俺を助けてくれた話とね、それで武格好いいよねって話///」
「誰とだよ…まぁいいや…」

教室から離れた渡り廊下に出ると、そのつぶらな瞳を向けてくるチビの頭をグシャグシャと撫でた。

「な、何すんだよ〜ι」
「可愛がっただけだよ…お前可愛いからなぁ」

そう言うと、チビはポッと頬を赤くして俺を見つめていた。

チビ助に「放課後にまた会おうぜ」と言って、お互いに教室に戻ったが、休み時間の度にチビがちょこちょこと教室に顔を出して来たんで、とっ捕まえると早々に学校を後にした。

「ち…ちょっと、俺っ…早退とかした事無いのにι」
「るせぇ、全部お前のせいだかんな!…俺は騒がれるの嫌いなんだよ」
「嫌いなの?ごめん…」

チビがしゅんと落ち込んで下を向いてしまった。

俺の目線の角度からそんなチビを見ると、長いマツゲにちょっと突き出た唇が妙に可愛く思えた。

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