《MUMEI》

「……桜の門扉は直り、もう俺を必要としなくなった。己のみで境としての役目を果たす事が出来る。だから、これからは雪乃の傍にずっと居ますよ」
雪月の大きな手が雪乃の頬を包み
向けられる微笑みに、更に雪乃は涙を流してしまう
「約、束だからね。破ったりしたら、針千本なんだから……」
子供じみた事ばかり言う雪乃
だがそれすら雪月には愛しく思え
桜の花弁が舞って降る中
二人は何度となく、穏やかに笑いあったのだった……

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