《MUMEI》
充電
「すごいですね」


感心する私を見て、明日馬さんは悪戯っぽく笑いながら『そうでも無いよ』と言った後…


「今の君の状態の方がすごいと思うよ」


と言った。


「…すみません」


私は赤くなった。


明日馬さんに説明を聞いている私の隣には、ぴったりと俊彦が寄り添っていて…

ずっと手を握りしめていた。


俊彦は、駅前で私と抱き合った後から、ずっとこの状態で…


私は、双子や友君からも『ラブラブ』と冷やかされ、恥ずかしい思いをしていた。


そんな私に、俊彦は、平然とした顔で、『ずっと蝶子に触ってなかったから、今充電してる』と言った。


この状況に、唯一父だけが激怒していたが、周囲に説得され、睨みながらも、私と俊彦を引き離す事はしなかった。


(困ったな…)


私は、優馬さんの事の他に、どうしても確かめたい事があった。


それは、孝太と麗子さんの関係だった。


『バレンタインではいい雰囲気だった』と、咲子さんは言っていたが…


見たところ、二人に進展があった様子は無かった。


他の皆も何も言っていなかったし…私は麗子さんと二人で話したかった。


しかし、この状況では無理だった。

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