《MUMEI》 「こんにちわ。」 与四郎くんが 声をかけた。 椎ちゃんは 少し びっくりしていたが、 「あっ、ペットショップの お兄さんですよね。」 と 笑顔で 言った。 「偶然 見掛けたからつい…ごめんね、ビックリさせて。」 「え〜っと、何をしてるの?」 与四郎くんは 尋ねた。 「この 花を 眺めていたんです。」 と言って 花壇の 隅にある 植物を 指した。 「これは?」 「キャットテールと言って、猫の尻尾 という花なんです。」 「この花の フワフワした感じが 猫の尻尾みたいでしょう? 「それで これ 少し曲がってるのが、飼ってた猫の尻尾に 似てて つい、眺めちゃって…。」 と 椎ちゃんは 寂しく笑った。 前へ |次へ |
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