《MUMEI》

「――モデルさ、やってみようかと思うんだけど」






穏やかに晴れた昼休み、裕斗は静かにきりだした。





今日の昼休みの西校舎の屋上は俺ら以外何故か誰もいない。




いつも数人いるんだけどもしかしたら天気も良いし中庭の方に行ってしまったのかもしれない。





「―――そう、そうか」







「――俺、変わりたいんだ…」






俺の様子を伺うかの様に上目使いで見つめる裕斗…。






―――本当に……








「―――――ン…」






薄い唇を塞ぐ。




細い躰を抱き寄せるとゆっくりとした動作で俺の背中にしがみついてきた。





「…ハァ、こんなとこ誰かに見られたら…」




「――何言ってんだよ、人に見られる仕事したいんだろ?これ位なんてことねーじゃん」





シャツのボタンを外すと、ほんのりとしか色のついていない小さなピンク色の乳首が現れた。




キュッと摘むだけで全身を震わせて答えてくれる。






唇を充てただけで甘い声が漏れだした。






――裕斗はこんな俺に対して抵抗した事がない。






今ここでこのまま抱いてしまっても彼は文句一つ言わないだろう。








「―――はぁ、はぁ……」





涙目で呼吸を荒くする裕斗のボタンを閉じてやる。




「ゆう、帰りラブホ行こうぜ」




「――――うん」






濡れた唇に深く唇を重ねる。





――――好きだよ、愛してる、お前は俺だけのモノだ……












―――周りが受験や進学の話題に湧く中、
一人中に入れずに寂しそうに笑っている裕斗に、モデルなんかやるんじゃないなんて……







――とても言えなかった。






『―――俺、変わりたいんだ…』






恥ずかしそうにそう言った裕斗。





あまり目立つ事を得意としない彼が決めた大きな決断







――隣で眠る裕斗。





何時もセックスの後僅かの時間だけど俺に全てを任せ眠ってしまう。


―――
―――――どうせ…



続かないさ…。




――よく分からないけど、そんな甘い世界じゃない筈。




きっと泣きながら俺の胸に飛び込んでくる。




――ゆうには…
どうせムリだ。
続く訳ない。




直ぐにくじける奴だし。





――俺が傍にいないと何も出来ない様に…






俺がそうしてきたから……――――――。


「―――ん」




「起きた?」





ぐっと引き寄せると当たり前の様にしがみつく裕斗。




「―――モデル頑張れよ」




「――――うん、有り難う……」




はにかみながら裕斗から俺にキスをしてきた。






――少しだけ…







罪悪感に駆られながら…、俺はまた彼を組み強いた。







END

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