《MUMEI》

「随分情けないじゃあないか。
高慢で鬼畜で他人に媚びない奴だったろう。」

それが、彼が知る国雄なのか。

「信じられないかもしれないけれど変われたんだ。」

「それは錯覚だ。自分がそう思っていても鬼の姿をしていることを気付いていない。
惑わせて、貶る、気付いていないだけだろう?」

そうか、国雄と俺は似ているのか……


「はい、お茶ですよ」

バァさんがいつものペースでお茶を置いていく。

「……散歩してくる。」

ジィさんは一人ふらふらと外へ出て行く。

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