《MUMEI》 何もしない夜『シューズクラブ』では、バレンタインに店員からプレゼントがある為、『お返しはいらない』という理由で、ホワイトデーにはイベントを行わない。 『クローバー』でも、バレンタインは女性陣の希望でパーティーをするが、ホワイトデーは男性陣の意見を尊重して、パーティーは行わない。 『来るのは、寂しい男達だけよ』と咲子さんが笑いながら言っていた。 だから、私は今日、俊彦の家に来ることが出来た。 明日は仕事なのだが…咲子さんがケーキを焼いてくれるから、私はランチの仕込みに間に合うように帰れば良かった。 つまり…久しぶりの『お泊まり』だった。 『今日は、蝶子は何もしなくていいからね』 その言葉通り、俊彦は夕食を作って、私を待っていた。 それは、嬉しかった。 問題は… 「はい、あ〜ん」 笑顔で私にスプーンを向ける俊彦。 「…ねぇ。訊いても、いい?」 私の眉間には、しわが寄っていた。 「何? あ、味は大丈夫だよ。ちゃんとマヨネーズ控え目にしたし」 俊彦が言うように、全ての料理にマヨネーズが入っていることも、気になる事ではあったが… それよりも、もっと気になる事があった。 前へ |次へ |
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