《MUMEI》

私は、何とか俊彦を説得し、手錠を外してもらった。

「もう、それ、ヤダ」


「う〜ん、どうしようかなぁ〜」


涙ぐむ私を見て、俊彦は悩んだ末に…


『蝶子が何もしないならいいよ』と言った。


私が『しない』と言うと、俊彦は『本当に?』と何度も確認した。


私が『絶対しない!』と答えると、俊彦は、『じゃあ、信じる』と言って、手錠を自分のポケットに入れた。


私は、約束通り、風呂場に行っても自分で脱がず、俊彦に任せた。


髪も、俊彦が洗った。


(これ位は、いつもされている事だし…)


私はまだ余裕があった。


「体も洗うね」


「うん…?」


俊彦の横にはボディーソープがあったが、いつものスポンジが見当たらなかった。


俊彦は、手にボディーソープを付け、泡立てていく。

(ま、まさか…)


私の、嫌な予感は…


的中した。


「ちょ、…な…」


俊彦が、泡だらけの手で、私の背中を撫で出したのだ。


「何って? 洗ってあげてるだけだよ?」


「ヤッ…」


背中からスルリと腕を伸ばした俊彦が、私の胸を撫で回した。


「ここも、よく、洗おうね」


「ヤダァ…!」

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