《MUMEI》

胸から腰へ、更に下へと俊彦の腕が伸びたので、私は思わず


抵抗して、俊彦の腕を払い除けようとした。


すると、普段は決して離れない俊彦の腕が、大袈裟なほど、簡単に離れた。


「『絶対、何もしない』って言ったのに…」


「だ、だって…」


「いけない子だな。蝶子は」


しゃがんでいる私の背中から、俊彦の重みが消えた。

「だ、だって…!」


振り返った私の目に映ったのは、手錠を手にした俊彦だった。


「嘘つきは、泥棒の始まりだよ?」


俊彦は、悪戯っぽく笑いながら、私と唇を重ね…


力が入らなくなった私に再び手錠をはめた。


「さ、手も、足も、綺麗に洗おうね」


「…ッ…あ、あぁ…!」


私は俊彦の手によって全身をくまなく洗われた。


シャワーで泡を流される頃には、既に私はぐったりしていて、抵抗する気力も無かった。


そして、私はそのままバスタオルにくるまれて、ベッドに運ばれた。


「も、…中、いいみたいだね」


「アッ…!」


(そんな、いきなり?)


お風呂で体を愛撫したとはいえ、指も舌も入らないうちに、俊彦自身が入ってきたのは初めてだった。


「ご、めんね、余裕無くて」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫