《MUMEI》
――長沢視点
「――――聖…ちゃん?」
突然聖ちゃんの全身が震えだした。
びっくりして腕を突っ張り見下ろすと
――カワイイ……
俺をジッと見つめながら声も発てずに震えて泣いている。
傍にいて守ってあげないと今にも消えてなくなりそうな…
儚さを漂わせる、そんな聖ちゃん…
―――ゴクッ…
聖ちゃんは腕で顔を覆いゴシゴシと乱暴に擦りだした。
俺はそんな仕草に堪らなくなり…
「ちょっ!ヤだあ!もうイヤあ!!」
聖ちゃんの脚を高く抱え上げ、高まりを上下に擦りつける。
「聖!俺勃っちゃった!もうめっちゃハめて〜!打たして?もっかい打たして??」
「バカあ!イヤあ!
キライっ!大ッ嫌いッ!」
体重で暴れる躰を抑えつけ片手でジーンズのファスナーを下ろす。
蹴り飛ばしながらジーンズを脱ぎもう一度脚を抱え直すと突然聖ちゃんの動きが止まった。
「――――――もう…やだ……本気で……
大ッキライだ……」
「―――――――」
―――なんか…おかしい。
今まで抱く相手に此処まで拒絶された事があっただろうか?
―――――…
……――
「――聖ちゃんさ、
そんなにセックスキライ?」
「は?」
「珍しくね?―――つか何度もキモチ良さそうにイってるくせにキライだなんて…変だ」
「―――何…言ってんの?」
聖ちゃんは泣き顔の中に薄い笑みを浮かべだした。
「――お前の事がキライだって…さっきから言ってんだよ…、バカか、―――お前だって俺なんか便所にしてるだけなんだろ?
――ヤれば?最低…
最低だお前…、大ッキライだ……」
そう言うと聖ちゃんは俺の腰に脚を絡め、背中にギュッとしがみついてきた。
――すると露骨に俺の高まりの先と、聖ちゃんの窪みが触れあった。
ビクビクと動きながら吸い付いてくる…あの感覚。
少し前の俺だったら触れた瞬間に突っ込んでいたの…だろう……
「――――――」
「―――長沢?」
俺は聖ちゃんからゆっくりと離れ、ベッドから降りる。
ふらふらと灯りのついたリビングに行きソファにドカッと座った。
「―――――」
何も考えがつかないままジッとテーブルに投げだされた塾用のバッグを見つめる。
――俺はただ聖ちゃんが抱きたかった。
――しかしそれとは別に塾はどうしても行きたかった。
だって日頃の行動を乱したくなかったから。
――そういやこの前も置き去りにしたっけ。
でもそれは仕方がなかった。
だって俺は学級委員長。
授業の始まりの号令は俺の仕事だから。
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