《MUMEI》

サザエは、擦り鉢をキッチンへと運んだ。



「あの子は、もうすぐ帰ってくるから、アナタは暫くパチンコにでも出掛けてて。」


サザエは、用済みとばかりにマスオを人払いする。



「あぁ――…。」


渋々家を後にしようとするマスオに、サザエは念を押した。


「…いいこと?

…打ち合わせ通りにやれば、何の問題もないのよ。」



サザエの眼がギラリと光った。


その目に愛情や優しさといった温かみは、勿論無い。


目的を果たす為なら手段を選ばない、エゴイストの目…。



――…雄を喰う、雌カマキリのような目だった…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫