《MUMEI》

「エリオルくん‥?」

「いいから放してくれっ」

「駄目だよそんなの‥!」

「お前に‥‥お前にオレの何が分かる‥っ」

「分かるよ!」

「!?」

「分かるよ‥。だって──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「だって仲間じゃない‥。一緒にご飯食べたり、魔法のお勉強したり、こうやってお話したり、一緒にやってきたじゃない‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「あたし諦めないから‥っ。絶対気づかせてみせる。だから‥何もかもたくさんだなんて‥そんな事言わないで‥っ」

「泣いてるのか、お前」

「アンタなぁエリオル、女のコ泣かしてもうてどないすんねん」

「オレはそんなつもり‥」

「でも、ナギ泣いてるデスよ‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「ちゃんと謝った方がええんとちゃう?」

「だからオレは‥、!?」

「どないしたん‥?」

「奴らが来る‥」

「はぁ‥? またかいな‥っ」

「ど、どうすればいいデスか‥?」

「とにかく逃げるで。何が何でも、捕まる訳にはいかへんねん」

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