《MUMEI》 「普通ならこんなことできない。」 先生が優しく頬に触れるので、私の胸は苦しくて張り裂けそうだった・・・ 「私は女として見られてないんですか?」 一瞬、先生の顔が曇った。なんでそんなこと言うんだ。という感じだ。 「・・・猫とか、犬に触る気持ちと一瞬なのかなって。」 先生は私の頬から手を離した。明らかにがっかりした様子で俯く。私は慌てて、先生の正面に立ち、手を取った。 「そ、それでも良いです。私、先生のリハビリに協力します。」 「リハビリ?」 俯いていた顔を上げてくれたので、私はその隙に、先生の唇を奪った。 ・・・唇が触れる程度のキスをした。 先生は驚いた顔でこちらを見ている。 「き、きぶん悪くない?」 私は真っ赤な顔で呟いた。先生は首を小さく横に振り、ソファーからその場に立ち上がった。 今まで同じくらいの高さだった目線が、急に高くなる。身長差が30センチくらいあるので、見上げるような感じだった。 先生はゆっくり私を抱きしめた。雷の時と同じように、包みこまれるような感じだ。その時より力強いくらい・・・ 「悪くないよ。むしろ温かくて気持ちがいい。」 優しく耳元にささやかれた。私はどう反応して良いか分からず、そのまま顔を埋めていた。 前へ |次へ |
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