《MUMEI》

あの後、先生が作ってくれたパスタを食べて、たわいもない会話をした。

先生の学生時代の話しや、私が向こうの学校であった出来事など・・・先生の知らないところは、全部知りたいと思っていた。

私が話すことを、先生は一生懸命聞いてくれた。


「先生。私ね、いつもいつも助けてもらってるから、何か恩返しがしたいって思ってたんだ。」

「そっかぁ。何故かおまえが困ってる時に出くわすからな。」

「・・・だから、私も先生の力になりたい。」

優しい笑顔で私の頭を撫でてくれる。

「ありがとな。」

そう言われ、嬉しくて私も先生の手をとった。

「制服を作った時、体で返しますと言ってきかなかったから、どうしようかと思った・・・まさか本当に返してもらえるとは。」

先生はにやりと笑った。
私はそれについては、コメントできずに、無言の抵抗をした。

「いつかな。おまえが卒業して、高校生になって・・・。我慢できるのかな?俺・・・」

私は吹き出した。自問自答している先生の心が、とても近くにいる気がして、嬉しさが込み上げる。


先生が自分を本当に好きかはわらないけれど、もしかしたら女として思われていないかもしれないけれど・・・力になれればそれだけで充分だった・・・。

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