《MUMEI》

ファミレスに入って席に着くと、俺の隣にチビが座ってきた。

「おいっ、普通正面だろうがι」
「俺は武の隣がいいの!」

そう言ってチビは間に置いていた俺の鞄と自分の鞄を向かいの席に置いてくると、俺の隣にぴったりとくっつくように座ってきた。

「何でくっつくんだよι」
「座ったら…くっつくもんなの」
「何だそれはι」

外国人って分かんねぇな…。


俺はおかわり自由のホットコーヒー、チビはメロンソーダを頼んでいた。

「ねぇ見て見て〜♪」

チビは蛇腹にしたストローの包み紙にちょいっと水をかけてニヨニヨ戻るのを見て楽しんでいた。

(何がしたいんだ…)

笑顔でそうやって遊んでいる、と思ったら…ふと表情が変わり、一点を見つめ何かを考えるような表情になった。

「校則でこういう所行っちゃいけないって書いてあるのに…」
「んな規則は破っていいんだよ、いちいち守ってたら息苦しいだろ」

チビのおでこを軽くコツンと指で叩くと、ちょっと嬉しそうにそのおでこをさする。

「うん///…無断で早退、校則違反…武と一緒に…悪いことしてるね///」
「あぁ…そうだな」

”悪い事”って言ってる割には嬉しそうなチビの頭を撫でると、猫のように喉がゴロゴロいうんじゃないかってぐらいの気持ち良さそうな顔をしていた。

「嬉しそうだなチビ」
「チビ?チビじゃなくて”か・な・た”だよっ!」
「あぁ……かなた…か」
「うんっ///」

チビは鞄からやたらと可愛いメモ帳を取り出すと、何やらそこに横文字を書き始めた。

「ん…何だ、読めねぇ」
「これがかなた、でコレがエリック…イェレミース」

”Kanata・Erik=Jeremies”

「お前エリックって言うのか?」
「かなたでいいよ///武の携帯にも書いてあるでしょ」

そう言われて携帯を見ると、かなたが俺の携帯に入れた名前が

     0★。*:☆カヽナょヽナこ☆;*。★0

と、表示されていた。

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