《MUMEI》

ほそっこい背中に追い付く、青白い光の下の鼻先は寒さで赤くなっていた。茶髪の間からのぞく耳を指先ではじくと、ぎゃあ、と漫画のような悲鳴が漏れた。

「痛すぎ!耳がちぎれるだろーが!」
「悲しいMCあるあるある」
「耳がちぎれるを略さないで!怖すぎだかんね」
「凍傷になった指とかってちょっとの衝撃でぽっきりいくって知ってた?」
「尚更だめだろうが!」

時間帯も気にせず騒ぎながら並んで歩く歩道、下らないことで笑う顔はいつも通り、ただし俺フィルターで儚さ3割増。

何でお前はいつもそんな笑ってられるんだ?

言いたいことを抑えて、柔らかい雰囲気と軽い口調でずっとごまかしてたのか?

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