《MUMEI》
おしゃべり〜洋平・美樹side〜
真弓の事故について、新しい情報が聞けると知った新米刑事は、驚きながらも目を輝かせていた。

なんせ、この事件には有力な手掛かりが何一つないのだ。当然の反応だろう。


「ほ、本当に?」

「はい。」


興奮気味の新米刑事とは反対に、洋平は落ち着き払っている。
美樹はといえば、予測してなかった洋平の言葉に、空いた口が塞がらないといった感じで、ただ二人のやり取りを見ているだけだ。


「何を思い出したの?」


当然、新米刑事は聞き出そうとする。
だがしかし、洋平は首を横に振った。


「すみません、ここから先はこの前事情聴取してた刑事さんとお話したいので、今は言えません。」

「あぁ、葛原さんの事?
生憎だけど、今日は休みなんだよね。」

「そうなんですか?風邪か何かですか?」

「さぁ…?僕もよく知らないんだよ。今朝いきなり休むって言われたから。」



この新米刑事は、どうやら『おしゃべり』の類に入るらしい。

『コイツは使える!』

洋平は心の中でほくそ笑んだ。

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