《MUMEI》

「玉子さん……。」


玉子は、のび助の呼びかけを尚も無視する。



「ママさん……?」


続くドラえもんの呼びかけに、玉子はようやく足を止めて反応した。



――…だが…


ドラえもんを見つめ返す玉子の表情は、なぜか氷のように冷たかった…。




「――…マ…マ……?」


まるで、息子の敵でも睨むような――…



背筋にビクリと悪寒が走るような玉子の眼差しに、ドラえもんはそれ以上言葉をかけることができなかった…。



玉子は、そのまま視線を廊下の奥へ戻すと、虚ろな表情で何処かへ歩き去って行った…。

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