《MUMEI》 怒るか、気持ち悪がられるか、逃げられるか、そういった選択肢しか予測していなかった俺は、えらく複雑な顔をしていたことだろう。 ドン引きされるという最悪の事態は免れたみたいなのに、なんだこのむなしい感じ? 「あ、いやいや。ごめん、そーじゃなくってさ、」 押し黙る俺に、銀二は慌ててとりなすように言った。 「なんかさ、最近なおひろが冷たかったからさぁ。俺嫌われてるのかなーって思ってたんだよねー」 ひょこひょこと隣を歩く茶髪男は、へらりとした笑みを浮かべた。 「き、嫌いになんかなるわけ、」 「うん。だから、嫌われてなかったってわかって、ホッとした」 前へ |次へ |
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